上海15ヶ月

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2004年 12月 13日

物乞いの老人

先日、日本から来た友人を連れて夜景がきれいな外難を散歩していた。
(一番奇麗な時間は過ぎていたが...)
日曜日の夜中という事もあり、いつもはにぎやかなこの場所もほとんど人がいない。

そんな中、物乞いの老人が近づいて来た。
「1元(15円位)をくれ。」
やや寂しい笑顔で彼はそう言いながら、自分の手のひらをこちらにのばしてくる。
その中には1元硬貨が1枚だけあった。

上海には時々こういった人を見かける。地下鉄の車両の中でもときたま見かける。
僕はこういった人にはお金をあげていない。あげないべきだという人もいるが、
本当のところ、どうしてあげないのかは自分でも分からない。

この老人はとてもしつこかった。どこまでもついてくる。
「あげないよ」と言っても、あまりのしつこさに手で押しのけても
その笑みを浮かべてついてくる。

そこまでされたのだからあげれば良かったのかもしれないが、
あまりのしつこさと、いちおう一緒に来ていた友人に不愉快な思いをさせたくない。
そう思った僕がとった行動は逆だった。
彼の手のひらに入っている1元、これを落とせば彼はそれを拾いに行くのではないか。
そんな残酷な嫌な考えがふと思いついた。

彼の手を振り払った。
「チャリーン」という音がして、もくろみ通りに1元硬貨は転がって行き、
彼はそれを拾いに行った。なにも言わずに。

たかが1元。本当にこれで良かったのだろうか。
物価が安い上海においてその価値は意外なほどに高い。
寒くなってきた上海。
彼が今何をしているのか、この後どうなってしまうのかは知る由もないが
食べるものがなかったり、もしかしたら凍えて死んでしまった場合、
僕もそのことに無関係というわけではない。

豊かと言われている上海も実は貧富の差が激しい。
日本を含む外資系の企業や国の投資で、この街は確かに急速に成長しているが
同時に貧富の差を広げているのではないだろうか。

上海に来て、現地の人に比べると裕福な暮らしをしている事はまぎれもない事実。
そしてやはり現地の人の助けを借りて、自分の生活は成り立っている。
そんな人が老人に対してとった行動はいかがなものか。

この国に対してやはり感謝の気持ちを忘れてはいけないと思うし、
今後仕事や生活を通して、なんとかこの国全体がいい方向に進めるように
貢献できたらと思う。たとえどんなに小さな事でも。

帰りのタクシーの中でずっとこんなことを考えていた。
コインの落ちる音とあの老人の目は多分忘れる事が出来ないだろう。
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by yasupon0920 | 2004-12-13 18:13 | 日常生活@上海


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